
オシドリ(Aix galericulata):華やかな色彩の美しい水鳥
オシドリは、日本の湖沼や渓流で見られるカモの仲間で、特にオスの鮮やかな羽色が特徴的な鳥です。夫婦仲が良いイメージが強いことから、古くから日本の文化にも登場し、縁起の良い鳥として知られています。
1. 基本情報
- 学名: Aix galericulata
- 分類: カモ目カモ科
- 英名: Mandarin Duck
- 全長: 約45cm(ハトよりやや大きい)
- 翼開長: 約70cm
- 分布: 日本、中国、ロシア、韓国、台湾など
- 生息地: 湖、池、渓流、湿地
2. オシドリの特徴
外見
- オス(繁殖期)
- 頭部は紫がかった赤褐色で、長い冠羽がある。
- くちばしは赤色。
- 目の後ろに白い模様があり、頬にフワッとした飾り羽がつく。
- 体の両側に「オレンジ色の帆」のような立派な羽がある(大雨覆羽)。
- 胸は紫色、腹は白く、背中は緑がかった黒色。
- メス
- 体全体が灰褐色で、地味な色合い。
- 目の周りに白いアイリングと白い線がある。
- オスのような飾り羽はない。
- オス(非繁殖期)
- メスに似た地味な色になり、「エクリプス」と呼ばれる。
- 6月頃から換羽し、秋になると再び華やかな繁殖羽になる。
鳴き声
- オスは「ピーピー」と優しく鳴く。
- メスは「ガーガー」というカモらしい鳴き声。
- 警戒時には「グェッ、グェッ!」と低く鳴く。
3. 生態と行動

食性
- 雑食性で、主に植物の種子や木の実(ドングリなど)を食べる。
- 昆虫や小さな水生生物も捕食する。
- 冬季は湖や池の水草をついばむことが多い。
行動
- 昼間は森の中で休み、夕方や早朝に水辺で活動することが多い。
- カモの仲間では珍しく、木の上にとまることができる。
- 渓流や森林に囲まれた池を好み、あまり開けた場所にはいない。
- 警戒心が非常に強く、人が近づくとすぐに飛び立つ。
繁殖
- 春(4月~6月)に繁殖し、木の穴(樹洞)に巣を作る。
- 産卵数は8~12個で、約1か月で孵化する。
- ヒナは孵化後すぐに木の穴から飛び降り、親の後を追って水辺へ移動する。
- オスは繁殖後にメスと別れ、夏には「エクリプス羽」に換羽する。
4. 分布と生息地
日本での分布
- 北海道、本州、四国、九州の渓流や湖で見られる。
- 東日本では主に冬鳥、西日本では留鳥(年中見られる)。
- 繁殖期は山間部の渓流や湖沼に生息し、冬は平地に降りることが多い。
生息環境
- 森林に囲まれた湖、池、渓流を好む。
- ドングリの実が豊富な場所では特に多く見られる。
- 都市部の公園の池でも見られることがあるが、基本的には自然度の高い環境を好む。
5. 観察のポイント

どこで見つける?
- 秋~冬にかけて、湖や池の周辺で観察しやすい。
- 朝や夕方に活動が活発になるため、その時間帯が狙い目。
- 渓流や山奥の湖では、繁殖期のペアを見つけることも可能。
他のカモとの見分け方
- オスは圧倒的に派手な羽色なので、見間違えることはほぼない。
- メスは地味だが、目の周りの白いアイリングが特徴的。
観察のコツ
- 警戒心が強いため、遠くから双眼鏡や望遠レンズを使って観察するのが良い。
- 水面で泳ぐ姿よりも、湖畔の木陰でじっとしていることが多い。
- 繁殖期には、木の上にとまる姿が見られることもある。
6. オシドリの魅力

1. 絵画のような美しい羽色
- オスの繁殖羽は、他のカモにはない独特の美しさ。
- 「オレンジの帆羽」や「鮮やかな冠羽」は、まるで芸術作品のよう。
2. 夫婦仲の象徴
- 「オシドリ夫婦」という言葉があるが、実際には毎年ペアを変えることが多い。
- しかし、ペアの時期は非常に仲が良く、一緒に行動することが多い。
3. 木の上で生活する珍しいカモ
- 木の穴に巣を作るため、飛び立つ姿が他のカモとは違う。
- ヒナが木の穴から飛び降りる姿は必見!
7. 環境と保護
生息環境の変化
- 森林の伐採により、繁殖できる木の穴が減少している。
- ダム開発などで、静かな湖や渓流が失われている。
保護のための取り組み
- 巣箱を設置することで、繁殖の手助けが可能。
- 森林の保全がオシドリの生息環境を守る鍵となる。
まとめ
オシドリは、華やかな羽色を持つオスと、森林に生息するという特徴を持つユニークなカモです。水辺だけでなく木の上でも生活し、特に繁殖期には木の洞に巣を作る姿が観察されます。警戒心が強いですが、秋冬の湖や池では比較的見つけやすく、その美しさからバードウォッチャーにも人気があります。
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