サイズ別ヒタキ科小型(雀サイズ)科別

トラツグミの特徴と生態|夜の森に響く「鵺」の正体

この記事は約3分で読めます。
画像提供:くろ猫様

トラツグミ(Zoothera aurea)— 幻想的な鳴き声を持つ森の隠れた名鳥

トラツグミは、夜の森に響く独特な鳴き声と、美しい羽模様を持つ中型のツグミの仲間です。日本では主に本州、四国、九州に分布し、落葉広葉樹林や針葉樹林の下草が豊富な環境を好みます。夜間に「ヒィー…」という幽玄な鳴き声を発するため、**「鵺(ぬえ)」**という伝説の妖怪の正体と考えられることもあります。


1. 基本情報

  • 学名Zoothera aurea
  • 英名:Scaly Thrush
  • 分類:スズメ目 ヒタキ科
  • 全長:約29~31cm
  • 翼開長:50cm前後
  • 体重:100~140g
  • 分布:ユーラシア大陸東部(日本、中国、ロシア極東、朝鮮半島)
  • 生息環境:落葉広葉樹林、針葉樹林、公園、低山地の森林

2. 特徴

外見

  • 体全体に黒と黄褐色のウロコ模様があり、樹木の落ち葉の中に紛れやすい保護色になっている。
  • 目が大きく、顔つきは比較的穏やか。
  • 翼の裏側が白っぽく、飛び立つ際に目立つ特徴の一つ。
  • 尾はやや長めで、飛ぶと扇状に広がる。

鳴き声

  • 夜間に**「ヒィー…」**と長く伸びる、哀愁を帯びた鳴き声を発する。
  • この鳴き声が「鵺(ぬえ)」の正体とされ、日本の伝説や怪談の題材になった。
  • 普段はあまり鳴かず、警戒時には「グルルッ」と低く鳴くことがある。

3. 生態と行動

食性

  • 主に地上で昆虫やミミズを探して捕食する。
  • 秋冬には木の実や果実も食べる。
  • 足で落ち葉をひっくり返しながらエサを探す姿がよく観察される。

繁殖

  • 繁殖期は5~7月頃。
  • 木の枝や茂みの中に巣を作り、2~4個の卵を産む。
  • ヒナは孵化後約2週間で巣立つ。
  • 人の気配を察知すると巣を放棄しやすいため、観察時には注意が必要。

飛行と移動

  • 普段は地面で活動し、警戒すると素早く木の枝へ飛び移る。
  • 冬には暖かい地域へ渡る個体もいるが、日本では主に留鳥または漂鳥として生息。
  • 飛び立つときに翼の白い部分が目立つのが特徴的。

4. 日本での観察

  • 主に本州、四国、九州の森林で見られる。
  • 冬季には平地の公園や神社の林でも観察されることがある。
  • 落ち葉の多い林床を歩きながら、ミミズを探している姿を見つけることができる。
  • 夜間の鳴き声が特徴的なため、鳴き声での発見が容易。

5. 保護状況と人との関わり

保護状況

  • 絶滅危惧種ではないが、森林伐採や都市化による生息地の減少が懸念される。
  • 日本では比較的安定した個体数を維持している。

文化的な影響

  • 「鵺(ぬえ)」の伝説に関連し、夜の森で聞く鳴き声が妖怪のように感じられることから、怪談の題材にもなっている。
  • 和歌や俳句にも詠まれることがあるが、ツグミ類の中では比較的知名度が低い。

6. 近縁種との違い

種類特徴主な違い
トラツグミ黒と黄褐色のウロコ模様、夜鳴く日本の森林に多く生息、鵺の伝説に関係
ツグミ茶色とグレーの体色、昼間に活動より開けた環境で見られる、冬鳥として飛来
マミチャジナイオレンジ色の腹、翼に白いライン夏鳥として渡来し、樹上で活動することが多い

まとめ

トラツグミは、日本の森林に生息する美しいウロコ模様を持つツグミの仲間で、夜間に響く幽玄な鳴き声が特徴的です。地面を歩きながら昆虫やミミズを探し、落ち葉をひっくり返す姿がよく観察されます。鳴き声は「鵺(ぬえ)」の伝説とも関係し、日本文化にも影響を与えています。森林伐採などの環境変化が懸念されますが、現在のところ安定した個体数を維持しており、全国の森でその姿を見つけることができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました